WHITE LOVE
ある寒い日の午後
二学期も中盤に差し掛かった十一月の初め。
今日は、親友である杏奈の誕生日会が開かれることになっていた。私を含め五人が集まり、パーティを開く。会場となるのは大きな一人部屋を持つ樹里の家だ。
「ゆず、なな、あす、かな…よし、揃った!」
樹里が一人一人確認し、杏奈に電話をかける。
「もしもし、杏奈?もう来ていいよっ」
樹里の弾んだ声が私達の気持ちを高ぶらせた。

私達は現在高校三年生。
受験勉強真っ盛りの今の時期、ストレスや悩みを抱えながらもこうして誕生日の時はみんなで集まっている。メンバーは、一年生の時に同じクラスだった六人だ。
今はバラバラになってしまったが、メールのやり取りや手紙のやり取りなどで情報交換をしている。
私、西山柚子莉は今回の主役である立木杏奈と特に仲が良い。
クラスが別になった今もほとんど毎日メールをしてるし、登下校も一緒だった。
杏奈はモデル並みに細い手足とハーフっぽい綺麗な顔立ちが特徴である。杏奈の美人さには勝てないと思いつつも一緒にいて自慢のできる大好きな親友だった。

この誕生日会がきっかけで二人の間に大きな溝ができてしまうなんてその時の私は思うはずもなかった。


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