WHITE LOVE
「ゆずっ、ゆずの番だよ」
「あっう、うん。ごめんごめん」
隣に座っていた香奈の声で私は我に返った。
「ぼーっとしてどうしたの?」
杏奈が顔を覗き込んで心配してる。杏奈の発言のせいだなんて口が裂けても言えない。
「ごめーんっ。お酒入ってないのに酔ったかも」
私はおどけてそう言った。
「もう、ゆずったら」
皆がからかうように笑う。これでいい。
「さっ、私は残念ながら今回報告がないので、トランプでもしよっか!」
「本当ー?ゆずの報告楽しみにしてたのになぁ」
樹里が、しょうがないなぁ。と言いながらトランプを取りに行った。
「ごめんごめんっ」
私はわざとらしく謝る振りをする。心の中ではどうしていいかわからなくて泣きそうだった。
その後、皆でトランプをしてプリクラ交換をして…あっという間に時刻は七時を過ぎていた。
私はこの場から早く立ち去りたくて、時間を気にし始めた。
「あっ、もう七時だね。そろそろ帰らなくちゃ!」
「ゆずご飯うちで食べて行けば?」
「ごめん、今日早く帰って来いって言われてたんだよね。残念だけど」
「そっかぁ。オッケイ!じゃあそろそろお開きにしようか」
樹里がそう言うと、杏奈がみんなの前で正座をし「本当にありがとう」と言った。

< 4 / 15 >

この作品をシェア

pagetop