WHITE LOVE
「クリスマスかー、どうする?」
共に学級委員を務めて来た荒井に問いかけた。
「うーん。難しいよな、皆が楽しめるものってなんだろう」
全く学級委員らしくない荒井は、耳に付けているピアスをいじりながら頬杖をついた。
「私も全然思い浮かばない」
「てかさ、」
「ん?」
荒井は手招きをして小声で話し始めた。
「え?!」
荒井の言葉に耳を疑った。まさか…。
私の気持ちとは裏腹に驚いた反応を喜んでいる荒井はニヤッとして、内緒だよ。と言った。
「中里さ、最近彼女できたらしいよ」
頭が混乱し、どうしていいか分からなかった。
誰?まさか杏奈?
思わず黒板に目を向ける。笑顔を溢している彼の顔が飛び込んできた。
心臓がドクンと大きく波打った。
「ねぇ、それ誰から聞いたの?」
私は荒井の袖を引っ張って早口で言った。
「噂だけどね。あっ、でも俺可愛い子と帰ってんの何回か見たよ。その子かな?」
「そう…」
もうこれ以上想像を膨らませたくないと思い、短く返事をした。

「西山さん、なんかあった?」
「えっ、あっなんでも」
私が視線を落としていると肩を叩かれた。
「そっか。なんか元気ないよね、大丈夫?」
中里君だった。
顔が高潮しているのが感じられる。しかし、止めることはできなかった。次第に心臓の音が早くなり、胸を押さえた。
「大丈夫!今荒井と話してたとこ」
「ならよかったよ。いい案考えといてね」
彼がニコッと微笑む。優しい声と笑顔に胸の奥がきゅーっと押さえつけられた。

彼の後ろ姿を見つめながら心臓がトクンと心地よく鳴り続ける。

やっぱり私は彼のことが好きみたいだ。





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