リボンの指輪
よほど、驚いたのだろう。




香織の表情は、真剣そのものだった。




「今すぐにでもっ!」




「無理!」




優希くんは、本に視線を落としている。




「とにかく、あんた達はお似合いだからっ」




「うーん……」




「はっきりしないんだから」




香織が口を尖らせながら、ちらっと優希くんを見る。




あたしもその視線を追うと、たまたま廊下を通りかかったらしい、頼に目がいった。




「……あ」




あたしの方は見もせずに、教室の前を通り過ぎていった。
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