リボンの指輪
こんな時、今までだったら、普通に声をかけられた。




声をかけられないのは、自分の気持ちが、はっきりしていないから。




香織と、優希くんに言われた通りだ。




“はっきりしない”。




自分の気持ちが今、どこにあるのか、全く分からない。




「陽菜は、誰が好きなの?」




「……分からない」




「早く、答え見つかるといいね」




香織は、優しく、眉を落として、微笑んだ。




何だかんだ言って、いつも香織は、味方になってくれる。




誰かの助けがなければ、何も出来ないのかもしれない。




「うん……頑張るよ」
< 112 / 276 >

この作品をシェア

pagetop