リボンの指輪
幸せになること、あたしはいまいちよく分からない。




“幸せは何か”なんて、答えられない。




友達といれば楽しいし、嬉しいし、でもそれが、“本当の幸せ”ってことなのかは、分からずにいる。




「でも、こんな悩みがあるなんて羨ましい」




「何それぇー」




「あたしなんて…あたしなんて……!」




香織が、わっと机に突っ伏して、泣いた振りをする。




「でも、香織を好きな人だって、たくさんいるよ、きっと」




「当たり前じゃない」




香織が、あまりにも当然みたいに言うので、あたしは、小さく笑ってしまった。




「でも、二人とも美男子だし、どっち選んでも損はないって感じぃー」




「香織!!」




「嘘よ、嘘」
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