リボンの指輪
香織が、肩を落として言う。




「分かりたくない、そんなこと」




「どうして…?」




「頼にはもう、彼女もいる。あたしが好きだって、どうにもならない」




ずっと隣にいてくれるもんだって、決め付けてた。




誰よりも、近くにいれるって、思ってた。




けど、それは間違いだったの?




「陽菜はそんなこと気にする必要ないと思うけど」




「気になるんだもん。頼は、誰でもよかったんだよ。あたしじゃなくて、他の誰かでも」




あのキスを見て、思い知らされた。




あたしって結局、それだけの存在でしかなかった。




「陽菜……」




「あたしが、勝手だっただけなの」
< 125 / 276 >

この作品をシェア

pagetop