リボンの指輪
優希くんが立ち上がる。




もう、頼は、あの女の子を送って、家に着いただろうか。




こんな時でも、気になるのは、頼のこと。




「幸せになれよ」




今思えば、高校生のくせに、生意気な言葉だと思う。




“幸せになれ”だなんて。




でも、幼かったあたし達には、それくらいしか、表現する言葉が、見つからなかった。




また、あたしも、“幸せになる”と、心の奥で、誓った。




なのに、今のあたしは、26歳にして、いまだ一人でいる。




今も、“幸せとは何か”、分からずに、慌ただしい毎日の中、もがいている。




今も、昔も、やっぱり変わらない。
< 132 / 276 >

この作品をシェア

pagetop