リボンの指輪
悔しいから、教えたくはないけれど。




それに、自分もたった今、気付いたばかりだけれど。




「……好き、だから」




あたしは、そう、小さく、けれどもしっかりと、伝えた。




その瞬間、頼の手に、あたしは勢いよく引き起こされる。





「わわっ…」




「俺も」




頼が、にこっと笑う。




「は……?」




「俺も好き」




こうしてもっと、頼のことが、分からなくなっていく。




「頼、彼女いるじゃん」




「いるよ」




「じゃ、駄目じゃん」
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