リボンの指輪
こういう適当なとこは、昔から変わっていないけど。




今と昔、適当じゃいけないところだって、ある。




あの女の子、絶対に頼のこと、本気だ。




「あたしは、頼と付き合いたくない」




「好きなんじゃねぇのかよ」




「あたしは、適当人間じゃないっ」




あたしは、頼の横をすり抜けて、歩き出す。




それを、頼は手で掴んで、引き戻す。




「何す…」



そう発したあたしの口に、頼の唇が重なった。




「や…!」




あたしはほぼ反射的に、頼をつき返していた。




突然つき返された頼も、ただ、つき返されたまま、あたしを見据えた。




「お、女を黙らせるにはキスだなんて、不潔―――!!」
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