リボンの指輪
あたしは、頼に掴まれた手を、ぶんぶんと振りながら、叫ぶ。




「最低!最悪っ!もう、本当に知らないっ!」




あたしは、今度こそ本気で、頼の手を、ふりほどいた。




「誰でもいいなら、あたしじゃなくたっていいじゃん!もう、十分でしょ!?あたしなんて、落とせたら終わりでしょ!?」




「ざけんなよ」




頼の低い声が、あたしの抵抗を遮る。




「誰でもいいわけが…」




「誰にでもキスするんじゃない!誤解されたくないなら、家の前であんなこと、しなきゃいいの!」




別に、あれは確かにあたしが見たことで、誤解なんかじゃとてもない。




こんなにも、自分がヒステリックになれるとは、思ってもみなかった。




「もう、帰るっ」
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