リボンの指輪
「帰さない」




頼が、今度は、力強く、あたしを背後から抱きしめる。




「離してよ……っ」




止まったはずの涙が、再び、すごい勢いで溢れ出す。




あれ、あたし、こんなに感情豊富だったっけ。




「誰でもいいのに、こんなことしないで…っ。もう、ほっといてよ…!」




「誰でもいいわけあるか!!」




「彼女いるくせに!!」




「別れるよ!!」




あたしが叫ぶと、頼も負けじと言い返す。




周りに人がいなくてよかった、田舎でよかったと、心底思う。




ビバ、北海道。




「……簡単に、別れるだなんて、言わないでよ…」
< 150 / 276 >

この作品をシェア

pagetop