リボンの指輪

「俺が、陽菜を好きなこと、あいつ知ってる。だからさっきも、何も言わず、いなくなった」




それにしては、十分なくらいの目つきで、睨まれたんですけど。




それであたしは、あの子は頼のことを、本気で好きなんだと、感じた。




「あいつが、陽菜を落とせるまででいいから、付き合ってって言ったんだ」




「それでも、最悪だよ……あの子、絶対、頼が好きなのに」




あたしが言うと、頼は、意外とでも言いたそうな顔をして、あたしを見た。




「好きでもない子と付き合うなんて、ありえない」




「お前だって付き合って…」




「あたし、優希くんのことは、本気で好きだったもん」




「は？」




優しくされたから、好きになったわけでもない。