リボンの指輪
「分かった?」




頼が有無を言わせずと言った感じに、あたしを見下ろす。




「いや……」




「分かったかって聞いてんの」




もう一度、念を押すように、頼が聞く。




「……はい」




つくづく、“幼馴染み”には弱いと、自分でも思う。




ついこの前まで、ほったらかしにされていたからだろうか。




「よし」




あたしの返事を聞いて、頼は満足そうに笑った。




いつでもこんな笑顔だったなら、すごくすごく、可愛いのに。




何て、思っても、それは過去の頼の話だ。




少なくとも、中学の頃までは、いつもにこにこしている天使のような、男の子だった。
< 160 / 276 >

この作品をシェア

pagetop