リボンの指輪
いつの間にか、あたしの中は、頼への、“好き”で、溢れていた。




伝えたくて、伝えたくて、うずうずしていた。




「頼、やっぱり変わってないね」




言動は冷たくなったけど、根底の優しさは、そのままだ。




「意味分かんね」




「それでいいのよー」




あたしだけが、知っていたい、頼のこと。




頼にだけ知っていてほしい、あたしのこと。




「着いた」




「えっ?」




気が着いたら、電車を乗り継ぎ、しばらく歩き、見覚えのない、山道に差し掛かっていた。




「ここ?」




「ここ」




あたしは、頼の後ろから、ひょっこりと顔を出す。
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