リボンの指輪
香織が“あいつ”と言えば、一人しかいない。




そして、頼が“あの女”と言えば、一人しかいない。




もう、ここまできたら、どっちもどっちっていう感じだ。




「今日は風邪で休み」




「よっしゃぁ!」




香織が図太い声を上げる。




「か、香織さん?」




「あー、久しぶり。あいつの顔を見ないなんて」




「確かに、陽菜と付き合うようになってから、本当に毎休み時間来るもんな」




「何も話さないくせにね」




香織が、つまらなさそうに言う。




そう言えば、ここ最近、毎日頼と一緒にいたような気がする。
< 177 / 276 >

この作品をシェア

pagetop