リボンの指輪
辛そうにうずくまっているから、何事かと思った。




頼は一年に一度、こんな感じの風邪を引く。




季節の変わり目、というやつだ。




大熱を出して、腹痛や頭痛が襲ってきて、それは大変らしい。




だから頼は冬が嫌いだ。




「お土産は?」




「頼、風邪引くと甘いもの食べたいっていつも言うから、シュークリームでも買ってくよ」




「田村のこと、すっごい知ってるよね、やっぱ」




「そりゃ、長い付き合いですから」




優希くんの前で言うのも気が引けてくるけど、優希くんは、けらけらと笑っていた。




そりゃそうだ。




いつまでも、あたしのことを想っているわけがない。




今はもう、あたしは、“頼の彼女”なのだから。
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