リボンの指輪
「あれ、よっくん、先に行ったよ」




玄関先に出てきたのは、頼のお姉さま、“果歩”ちゃんだった。




「果歩ちゃん、久しぶり!!って…えぇ!?」




果歩ちゃんはもう社会人のため、家を出てしまっていて、たまにしか、実家には帰らない。




兄弟歳が離れているのは、うちみたいだ。




ただ、頼の方が、年下だけど。




「頼、先に行ったの!?どうして!?」




「さぁ…なんか、ぼーっとしてたけど」




「熱、大丈夫なの?」




今、頼の両親が、仕事で出張に行っているため、風邪を引いた頼のために、果歩ちゃんは帰ってきたらしい。




「熱はもう下がってるんだけど」




「でも、早く行ったんだ…」




あたし、何も聞いてない。




あれだけ、昨日、駄々こねてた人が。




「もう、よっくんのことなんか、どうでもいいじゃない!ちょっと、うちあがってかない?…って学校か。ちっ」
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