リボンの指輪
「……あれ」




歩いていると、前方に、頼の姿を見つけた。




あの派手な後姿、間違いない。




「頼!何してんのっ?」




「何って、馬鹿?登校中」




「だって、頼が遅刻してないっ!!」




今日はあたしも、起こしに行ってないのに。




「俺だって普通に来なきゃ、単位やばくなるっつの」




頼が、呆れたように、ため息をつく。




「頼、そんなこと気にしてたんだぁ!!」




「どういう意味だよ」




「でもさ、彼女がいるなら、あたしじゃなくて、彼女に起こしに来てもらった方が、効果あるんじゃないの?」




「やだよ、彼女に起こされるのなんか」




だって、もし優希くんが、起こしに来て欲しいって言ったら、あたしは間違いなく、瞬時を空けず、頷くだろう。




「それに、どの彼女に頼んでいいか、分からない」




「うわ…本当女の敵発言」
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