リボンの指輪
あたしが引き止められることくらいは、予想していたのだろう。




あまり驚いた表情も見せず、頼は、弁当箱を開けていた。




「優希くんは、笑いながら見てたけど」




「思ったんだけど、あいつ、本当に陽菜のこと、好きなの?」




「…え?」




頼はそう言ったきり、もくもくと、弁当を口に運び始めた。




「ちょ、ちょっと、気になるじゃん!」




「……別に」




「別にじゃなくて!」




頼は、いつも肝心なところで、“別に”発言をするんだ。




「頼!!」




あたしは、頼から、弁当箱とお箸を取り上げて、目の前に座り込む。




「……だって、幼馴染みだって、一応男なんだし、二人きりでOKするとか、よほど余裕があるか、好きじゃないかの、どっちかだろ」




どくん、と、胸が鳴る。




「そんなに余裕ある奴にも、俺は見えなかったけど」




核心をついていた。
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