リボンの指輪
本当に、頼は分からない。




「頼……?」




頼が、無表情で、だんだんと近づいてくる。




あたしは思わず、一歩二歩、後ずさる。




「……陽菜は、優しくされたい?」




「そりゃ…」




「優しくしてあげよっか」




頼は嘲笑を浮かべながら、もう一歩、踏み出した。




瞬間だった。




瞬きする暇さえ、与えられなかった。




頼の唇が、あたしのそれに、かぶさっていた。




「んん…っ、よ…っ」




どれだけ強く頼の体を押し返しても、びくともしない。
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