リボンの指輪
今日したことを、謝らせたばかりだ。




「別に、後悔はしてないし。好きな女なんだから、いいじゃん」




「よくない!!相手の気持ちも考えなよ!」




頼が誰を好きだって、あたしが好きなのは、優希くんだけだ。




キスだって初めてなわけじゃないし、これくらいじゃ、惑わされない。




「怒ればいい。ただ、俺は、陽菜が好きだよ」




はっきり、言われてしまった。




“好き”だと。




「誰よりも、ずっと前から、好きだ」




優希くんにも、香織にも言えない秘密が、出来た瞬間だった。




「それだけは、覚えておいて」




そう言って、頼が、部屋から出て行く。




あたしは、閉まるドアを見つめてから、腰が抜けたように、その場にしゃがみこんだ。
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