リボンの指輪
「移動教室って、だるい―――!」




香織が、ぶつぶつと愚痴をこぼしながら、あたしと優希くんの隣を歩く。




「理科の実験くらい、教室でやって欲しいよね」




「だよねー」




そして、その理科の次は体育なのだ。




そのこともさっき、香織がぼやいていた。




「……げ」




香織が、遠くに頼の姿を見つけて、眉をしかめる。




実験室へ行くためには、頼のクラスを通らなくてはいけない。




「どうして廊下になんて出てんのよー」




頼は、廊下で、女の子達と、話し込んでいるようだった。




距離が縮まって、頼と目が合う。
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