リボンの指輪
咄嗟に、嘘をついてしまった。




あんな些細なこと、嘘をつく必要なんて、全くなかったのに。




「そっか。あとで、目、冷さないとな」




「えー、大丈夫だよ」




「痛そうだもん。こすっただろ?」




「う、うん」




「冷したら、すぐに戻るよ」




やっぱり、あたしには、優希くんしかいない。




もう、“好き”だと言われ、ひやひやすることもなくなるのだから、安心じゃないか。




「そう言えば、今日は田村は?」




「知らない。最近が珍しかったんだよ」
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