親友の君は
「・・・・・・・葉月・・・・?」


その子は同じクラスの榎本葉月(えのもとはづき)という子だった。

小学校3年生の時に転校して来た子で、おとなしく意外と顔もスタイルもいい、そこらへんの女の子と比べるとカワイイ方の子だった。

それから仲良くなって、今では親友と言えるほどの仲だった。喧嘩もなく、よく話があって葉月といるととても楽しかった。

私がいじめられるようになってから、あまり話をしていないので、久しぶりだった。


「なんでここに?」

「咲羅が凛ちゃんと喧嘩してるの見てたから・・・・ちょっと心配で・・・」

「葉月・・・・」

「それと・・・これ」

葉月がそう言って差し出したのは、私が凛に隠された靴だった。

「そ・・・それ・・・」

「凛ちゃんがゴミ箱に入れたの知ってたから、誰にも見られていないうちに持ってきたの。大変だったでしょ?靴無くて・・寒いのに」

「わざわざ持って来てくれたの?・・・・・ありがとう・・・葉月」

うれしかった。まだ、私のことを考えてくれる人がいるってことが。

「ねぇ、また、凛ちゃんとか他の女の子たちにいじわるなことされたら教えて。私、できる限りのことやって助けてあげるから」

「葉月・・・・本当に・・・・ありがとう」


うれしくて涙が出そうだった。




信じられる。葉月のことなら。


私のこと、守ってくれる。




葉月と別れて、家に向かって歩いた。



さっきとは大違いで、足取りはとっても軽かった。

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