雪の日の約束《短編》
ピュウー…。


また電線が鳴いた。


ユキナとの思ってもみなかった再会に、寒さを忘れていることに気付いた。


また風が吹いて、ユキナの赤い傘を大きく揺らすと、その手からさらった。



「あっ!!!」



傘はあっという間に遥か後方に吹き飛ぶと、コロコロと転がって逆さまの格好で止まった。




白い雪の上に、赤い傘。




…………。


なんだろう…何か…。


何かが胸にひっかかる。




こんなこと、ずっと前にもあったような…。

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