雪の日の約束《短編》
僕の体温で溶けた雪が、汗と一緒になって目にしみた。



そうか…。


そうだったんだ…。


さっきから胸につっかえていたものは、これだったんだ。


ユキナは、僕に思い出して欲しかったんだ。


それなのに、そんな事をすっかり忘れてたいた僕は、なんて、なんてバカなんだろう。


五年前…ユキナに好きだと言えなかった僕と同じように、ユキナも僕に言えなかったのかも知れない。


子供の頃からずっと一緒にいたのに、ユキナをずっと見てきたはずなのに。


どうして…僕は気付いてあげられなかったのかな。



白い雪が世の中の雑音を吸収した静かな世界を、僕は突っ走った。

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