雪の日の約束《短編》
「はぁ…はぁ…!」


全身汗だくになった僕は、コートを脱ぎながら、ユキナがいる筈のホテルを見上げた。


明かりのついた窓は半分くらいあった。


この中から、ユキナを見つけなければならない。


「よし」


僕は額の汗を腕で拭うと、足を一歩前に出した。




「あれ?セイちゃん…?」


弾かれたように振り向くと、コンビニ袋をぶら下げたユキナが不思議そうな顔で立っていた。


「ユキナ…お前…そんな所で何やってるの?」


「それは、こっちのセリフですけど」


ユキナは嬉しそうに笑った。

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