雪の日の約束《短編》
「大人になったらユキナをお嫁さんにするって言ったんだよ。そうすれば暗くなっても一緒だよって言ったんだ」


「覚えていて…くれたんだ」


「ごめん、本当は忘れてたんだ。だけど、思い出したよ」


ユキナは首を振った。


「いいの。セイちゃんが思い出してくれただけで、嬉しいよ」


ユキナは頬をピンク色にして、ふぅーっと息を吐いた。




「あと、もう一つ、ごめん」


「え?何?」


首を傾げるユキナに僕は言った。


「五年前、ユキナが引っ越す時、好きだって言えなくてごめん」


「セイ…ちゃん?」


ユキナが瞬きをすると、まつげについた雪が溶けて涙に変わった。

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