雪の日の約束《短編》
僕はユキナに近付いた。


今、僕の胸の前にはユキナの頭があって、腕を伸ばせばすぐに抱きしめられる程に近くにいた。


「子供の頃は簡単に言えた事が五年前にはどうして言えなかったのかな。だけど…だけどさ、今なら言えるんだ。僕はやっぱりユキナを…」


ユキナの肩が小刻みに震えていた。


「今、言ってもいい…?」



無言で頷くユキナの頭を僕の胸につけ、それからゆっくりと身体を引き寄せた。


「セイちゃん…」


ユキナが僕の背中に腕を回した。
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