雪の日の約束《短編》
すると、赤い傘の人物は両手を大きく振った。


なんだ?


僕は振り返って後ろを見たが、僕の足跡以外何もなかった。


もう一度前を見ると、やっぱり手をブンブン振っている。



「…ちゃん…。セイちゃん!」



僕はポカンと口を開けた。


そして、口の中に入ってくる雪を吸い込んで、ゲホッとむせた。



「えっ…。ユキナ…?」



「セイちゃん!」



白い雪の中、赤い傘のユキナは、転びそうになりながら僕の所まで走ってきた。

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