雪の日の約束《短編》
「セイちゃん、どうしたの?ボーッとして」


そんな僕の気持ちを知らないユキナは、僕の腕に自分の腕を絡ませてきた。



ギュウッ…。



僕の胸が苦しい音をたてた。



だから僕は…。


ユキナを冷たく突き放した。



「な…んだよ…。あれから五年もたってるんだ。もう子供じゃないんだからセイちゃんなんて気安く呼ぶなよ」


僕の腕からユキナがそろそろと手を離したのがわかった。


わかった…というのは、僕がユキナのほうを見れなかったから。



ユキナは弱々しい声を出した。


「ごめん…。セイちゃ…ん」


「だから、セイちゃんはやめろって」


「あ…ごめん…セイちゃ…あっ!」



僕は溜め息をついた。

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