上手なフラれ方
やがて、試合が始まった。

隣にいる理沙が「いけー、やっちまえー、殺せー」と威勢のいい声で喚いている。

このまま理沙を無視し続けていれば「殺せ」が「殺す」になるかもしれないと思うと、気が気ではなかった。


一試合目はあっけなく終わった。

ほんの数分の出来事だった。


「もう終わっちゃったよ。つまんないの」理沙が嘆いた。「次の試合は誰と誰?」

僕はその質問を無視した。

「ちょっと、また無視? いいかげんに……」

奇跡は何度でも起こる。

タイミングよく歓声が湧いた。

2試合目は僕の好きな選手の試合だった。
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