上手なフラれ方
「あんたが遅いだけでしょ」

またつい手を出しちゃって、コウちゃんはちょっと尋常じゃないくらい鼻血を流してる。

「それにしても理沙、どうかしたの? 今までこんな可愛い服着なかったじゃん」

おもいっきり殴ったのにまったく動揺しないなんて、さすがコウちゃん。

「あんたには関係ないでしょ」

うーん、どうしてあたし、こんなに素直じゃないんだろ。

「関係あるさ」

コウちゃんが力強く言ってきた。

あの日から、コウちゃんは変わった。今みたいなときなら、「そそそうですよね、かか、関係ないですよね」って反応だったはずなのに、最近ははっきりと自分の言葉を言うようになったの。

だから、今までは対等じゃなかったんだなって、すごく思うようになったんだよね。

コウちゃんは強くなった。
あたしももっと、やさしくならなきゃ。

「そんなことよりあんた、体力ないわね」

「そ、そそんなことないよ」

あら? 弱いコウちゃん復活?

「決めた。あんたはこれから毎日走ること。目標は二ヶ月後のマラソン大会で優勝よ」

勝手に宣言しちゃうあたし。

うーん、あたしがやさしくなれるのは、もう少し先のことみたい。
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