上手なフラれ方
付き合うことになったのは、高校一年の夏だった。

理沙に告白されたとき、僕はなぜか彼女の恐ろしさを忘れていた。

そうでなければ、今こんなに苦労することはなかったに違いない。

付き合い始めてからわかったことだが、理沙の恐ろしさは暴力を振るうことだけじゃなかった。


僕には自由がない。

メールが一日に50通は届くのに、すべて返さなければいけない。

たとえ友達と遊ぶ約束をしていても、理沙がどこかに行きたいと言えば従わなければいけない。

休みは理沙によって奪われていったから、仲の良い友達はひとり、またひとりと離れていった。


僕は束縛されていた。

そう、つまり呪われているのだ。
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