大切な事
あまりにも気になったので、私は本人に理由を聞いた。
すると、梓は黙ったまま私の胸ぐらを掴んでトイレの個室に連れ込んだ。
あまりにもいきなりの出来事で、怖くて怖くて泣きそうだった。
梓の物凄い表情を見れば、このまま殺されるんじゃないかとさえ思った。
この子がもし、今カッターナイフを出したら…
嫌な考えが頭に浮かんで、恐怖が消えなかった。
トイレの個室の鍵を閉めた途端、梓は怒鳴った。
「心優は私が怒ってる訳、全然わかってない!!」
…えっ?
正直言って、確かに私はわからなかった。
恐怖がどんどん膨らんで、心臓がバクバクして、息をするのも忘れそうなくらいだった。
「何?分からん…。」
「…賢治は…私の彼氏やったのにぃ!!!!!」
梓はボロボロと涙を流しながら、ヒステリックな声を出して目の前で泣き崩れた。