君がいた部屋~二階階段前倉庫~
だが、現実的に考えてもありえない。
この前あった部屋が今は存在しない。
どうゆうこと??
トランペットの音が、冷え切った廊下に響く。
あたしはただ呆然とそこに立っていた。
何なのよ、一体…
「三神さん?」
秋本恵だった。
「秋本先生、」
「三神さんが残ってるなんてどうしたの?質問?」
「あ、はい、数学分からなくて、今終わって帰る所です。」
我ながら完璧な言い訳だった。
ちょうどここは、数学教科室から玄関ホールまでの通り道。
「そうだったの。これからも頑張ってね。先生期待してるから。」
「そんな、ありがとうございます。」
「じゃあ、さようなら。」
「さようなら。」
あたしはそのまま帰った。
部屋には行けなかったけど、別にいいや。
きっと疲れてたんだ。
昨日一馬に頭殴られて、朝ちょっとフラフラしてたし。
あたしはそう自分にいい聞かせた。