君がいた部屋~二階階段前倉庫~


あたしが学校に着く頃には沢山の人がいた。


あたしは竜の姿を探した。


いなかった。


あたしは不安になった。


「恵!!」


朋佳だ。


「朋佳…。」


あたしは朋佳と火が消えていくのを見守った。


やがて火は消えていった。


火が消えると、人々は安心して帰って行く。


皆喋りながらだからとてもうるさかった。


だけどあたしは帰る気にならなかった。


竜がまだ中にいるような気がした。


あたしが来なかったからって、ずっと中にいそうだった。


「帰ろうよ。」


朋佳があたしに言った。


「竜が…」


「え?」


「竜が、まだいる気がする。」





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