君がいた部屋~二階階段前倉庫~


「そんなの有り得ないよ。火事だったんだよ?その時いたとしても、とっくに逃げてるよ。」


朋佳の言ってる事は正しい。


普通の人なら逃げる。


でも、分かってるけど、


竜は…


その時だった。


消防隊員みたいな人が、人を担いで出て来たのは。


あたしは自分が気付かないうちに傍に駆け寄った。


消防隊員みたいな人はあたしに気が付くと話し掛けた。


「この子が誰かご存知ありませんか?」


あたしはその人を見た。


知らないわけ…無かった。


「竜君!!」


あたしよりも朋佳の方が先に反応した。


あたしは体中が震えた。


受け入れられなかった。


竜は息をしない。


竜はもう喋らない。


竜はもう自転車に乗らない。


あたしを乗せてくれない。


竜は…もう…


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