君がいた部屋~二階階段前倉庫~


机の中からカッターナイフを取り出す。


あたしは刃の先を自分の左手首に向ける。


あたしは目を瞑った。


「っあぁ…」


あたしは目を開けた。


手首から、赤い線が垂れる。


またやってしまった。


もう切らないって決めたのに。


あたしは思わずカッターナイフを落としたりはしなかった。


ティッシュで刃に付いた赤を拭き取り、その後一馬も後ろを通って洗面所に行く。


あたしはそこで手首を洗い流す。


自分でも信じられないくらいの冷静さだった。


まだ二回目なのに…


こんなにも慣れてしまった自分が恐ろしかった。


もう、やりたくないのに…


あたしはその後も冷静に止血したのだった。


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