君がいた部屋~二階階段前倉庫~


そこにドアはあった。


あたしは深呼吸して中に入った。


あたしは竜を見つけるとゆっくりと歩いてそこまで向かう。


「久しぶりだな。」


竜は変わらない表情と口調で言った。


「久しぶり!!元気だった?」


あたしはというと無理に明るい声を出した。


「幽霊に元気もくそもあるか。」


そう、竜は幽霊。


あたしはそう言われると意識し始めた。


竜は幽霊


あたしは人間


違う世界の人なのだ。


あたしは何を言うべきか迷った。


先に口を開いたのは、竜だった。


「な?俺が何者か分かるって言ったろ?」


「…そうだね。」


まるで初恋で戸惑ってる女の子のような言い方だった。


それが自分でもおかしくって、


笑ってしまった。





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