君がいた部屋~二階階段前倉庫~


放課後、あたしは桜達に声をかけられないうちに陽介君との待ち合わせ場所に行った。


マンションの前で陽介君はああしを待っていた。


「三神さん!」


「待たせてご免。」


「いいよ。行こう。三神さんに聞きたい事いっぱいあるから。」


あたし達はそのまま屋上に向かった。


高い所は久しぶりな気がした。


よく考えると、あたしは高い所が好きだった。


人が動いている光景や、ビルが並んでいるのを見るのが何だか好きだった。


あたしは思いっきり深呼吸をした。


「高い所好き?」


「うん。暫く行ってなかったけど。高い所。」


「俺はあんまり好きじゃないな。」


「じゃあ何で屋上に?」


「三神さんって高い所好きそうだから。」


陽介君は言った。


「何で高い所嫌いなの?」


「何かさ、人見下してるみたいじゃねぇ?」


「そう?」


「俺の偏見だけど。俺さ、五人兄弟の長男なんだけど、出来が悪くてよ、いつも親にいろいろ言われてさ。」


陽介君のだんだん険しくなっていった。


きっと本当に嫌なんだ。


あたしは聞く覚悟を決めた。


「やっとこの学校入ったのは良いものの、成績イマイチで…また文句グダグだ言われて嫌になって切ったんだ。」


あたしは彼の左手首を見た。


そうだったんだ…


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