君がいた部屋~二階階段前倉庫~
あたしは海を眺めた。
そう、もしあの時あんな事言わなかったら、あたしはこんなにも海を恐れる事はなかった。
全部、全部自分のせい。
だから今の生活は当たり前なんだ。
お父さんとお母さんを殺した罰
一生消える事の無い罪の罰
あたしは滲んで見える海の青がとても切ないと思った。
「美羽…辛かったんだな。」
陽介君はあたしに優しい言葉をかける。
それさえも、今のあたしにとっては意味がなかった。
「うん。」
あたしは生返事を返す。
「俺は美羽の気持ちが全部は分からない。親だって両方生きてるし、美羽みたいに辛い経験もあんま無い、だけど…」
陽介君は真っ直ぐあたしの方を見つめる。
「俺、美羽の気持ち分かってやりたい。それで、出来るだけ美羽の悲しみとか癒してやりてぇ。」
陽介君ははっきりと言った。
その言葉はあたしの胸の中に
しっかりと染み込んでいった。