君がいた部屋~二階階段前倉庫~


階段を上がっていくと、3人は止まった。


「上、見て来い。」


浜崎早苗は言った。


「何があるの?」


「そんなの自分で見なさいよ。」


あたしは3人を順番に睨みつけて階段を上がって行った。


何があるって言うの?


分からないけど、陽介君が関わってるのは間違いなさそうだ。


あたしの足は自然と速度を落とす。


やっぱり怖いよ。


陽介君が何かされてる


そう思った。


そしてその思想は


あたしを臆病にさせる。


あたしはあと少しと言う所で足を止めた。


声が聞こえた。


一瞬だけど


女の子の声…


あたしは耳をすませた。


だが声は聞こえてこない。


あたしはもう一段階段を上がった。


人が見えた。


屋上に繋がる扉の前に。


陽介君と





あたしははっきりと見た。


キスしてる二人の姿


陽介君は桜の背中と頭に腕を回し


夢中で桜の唇を貪っている。


否、どちらかと言うと


桜がわざと貪られている感じだ。


あたしは


ただ呆然と見ている事しか出来なかった。


桜はキスしながら目を開き、横目であたしの方を見た。


この時あたしがどんな顔していたかは分からない。


だけど


桜はあたしを見ると満足そうに笑って、再び陽介君に集中する。


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