君がいた部屋~二階階段前倉庫~


その瞬間、陽介君もあたしの方を見た。


「美羽!」


陽介君は驚いていた。


浮気がバレた時な男って、皆こんな顔するのかな?


あ、でも翔太はしてなかったな、こんな顔。


あたしは滑稽で仕方なかった。


男ってそういう生き物なのかな?


女の子は一人じゃ足りないの?


「美羽!」


もう陽介君に甘い雰囲気は漂ってない。


あたしは桜を見た。


パンツが見えそうなくらいミニスカで、彼女の細く長い脚が綺麗に強調されている。


ブラウスも第2ボタンまで開けて、男を誘惑する気満々だ。


そして桜は


勝ち誇ったような顔で上からあたしを見ている。


その余裕に満ちた目は喜びそのものだった。


その目はあたしに



「悔しい?」


と聞いている。


あたしはもう一度陽介君を見た。


今の彼は動揺しか感じていないようだった。


あたしはそれを見ると階段を降りた。


「待って美羽!」


陽介君はあたしを呼び止めた。


あたしは振り返って言った。


「さよなら。」


自分でも驚く程冷酷な言い方だった。


あたしは階段を降りだす。


あたしがしないといけない事は前に進む事


こんな所で立ち止まってるわけにはいかない。


下に辿り着くと、3人がお腹を抱えて笑うのを必死で我慢していた。


あたしは3人を無視して教室に戻った。


結局午後の授業に桜が出席する事はなかった。


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