君がいた部屋~二階階段前倉庫~


あたしは目を閉じた。


そうだよね。


竜はあたしにしか見えない。


竜はあたしだけを見てくれる。


だけど…


やっぱりダメ…


竜から逃げたくて陽介君と付き合ったって言っても過言じゃない。


その陽介君とはもう別れる。


否、別れたって事になるのだろう。


でもあたしの中には


まだ陽介君がいる。


だから会えない。


会いたいけど


今はまだ…


「…」


あの光景が頭に焼きついて離れない。


抱き合ってキスする二人


あたしという第三者の存在にも気付かずに、陽介君は夢中で桜にキスをしていた。


桜は美人でスタイルいいからしょうがない?


かもしれないね。


だけど


ショックだったんだからね。


陽介君のこと、信じてたんだから


だから、


だから…


涙が溢れ出す。


竜のこと別れる為に付き合ったっていうのもあるけど


あたし


陽介君が好きだった。


男として


陽介君が好きだった。


大切なものは、失って気付いた。


大好き…


やっぱりあたし


陽介君が好き。


あたしは陽介君とキスしていた桜を思い出した。


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