君がいた部屋~二階階段前倉庫~


「市川!お前のせいで美羽ちゃんにぶつかったじゃん!何やってんだよ!」


坂田真紀が叫んだ。


「ちゃんと謝ったら!!」


いきなり何?


作戦?


後であたしのこと笑おうって事?


桜は黙ったまま苦々しそうな顔をしていた。


「さっさと謝れよ!」


浅間実穂が怒鳴る。


クラスがまた静かになる。



「ご免なさい…。」


聞き取りにくかったが桜は言った。


「え?何て?何か言った?」


「こっちまで聞こえてこなかったけど!」


3人は交互に桜を責める。


「ご免なさい!」


苦し紛れに桜は叫んだ。


「だって美羽ちゃん。許してあげる?」


浅間実穂はあたしに問いかける。


「あ、うん。」


「美羽ちゃんやっさしー!何処かの誰かさんと大違い!」


「誰かさんって誰?」


「そんなの本人いる前で言えるわけないじゃん!!」


アハハハハって言ううるさい笑い声が教室を支配する。


桜は本当に泣きそうな顔をしていた。


これは芝居じゃない。


桜は本当に虐められてる。


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