君がいた部屋~二階階段前倉庫~
放課後
「市川!」
浅間実穂が桜を呼んだ。
桜は無視して教室から出ようとした。
だが浜崎早苗がそれを阻止する。
「中庭来いよ。」
そう言って3人は無理矢理桜を引っ張っていく。
まるで、あたしを連れて行くみたいに。
あたしはその光景をただ眺めていた。
だが
あたしの足は動いていた。
彼女達と同じ方向へと。
桜は少し抵抗しているようだった。
だが3人に1人じゃどうも出来ないようだ。
中庭に着くと、3人は桜を囲んだ。
あたしは校舎からその様子をそっと見る。
「あんたさ、どんな約束で仲間に入れてあげたか分かってんの?」
「あたし達ね、別にあんたと仲良くする気なんて全然なかったの。三神美羽を虐める気もなかったし。」
「むしろ彼奴とは程々の付き合いして勉強教えて貰おうって思ってのにな。あぁあ、誰かさんのせいで今年も欠点ばっかり。また仮進級じゃん。」
「本当にご免。」
桜は謝った。
いつもの堂々とした桜の姿は何処にもなく、小さく震えていた。