君がいた部屋~二階階段前倉庫~
「あのね、謝らなくていいの。っていうか謝る前にさっさと持って来いよ。チケットくれるって言ったの何処の誰よ!」
「それとも、そろそろ変えよかぁ。」
3人は同時に笑い出す。
「か…変えるって…」
怯えきってれ桜はやっとの思いでその一言を言った。
が、彼女達の答えは薄情以外の何ものでもなかった。
「だってぇ、美羽ちゃん可哀想だしぃ、ねぇ実穂?」
「そうよね、こういうのは罰を受けるべき人がいろいろされるべきだよね。」
桜の顔はどんどん蒼白になっていく。
血の気の無い、死人のような桜は、それだけは、という顔をしている。
あたしにだって分かった。
明日からあたしは虐められない。
代わりに虐められる子が現れたのだ。
「嫌だったら明日持ってきてよね?桜ちゃん?」
「じゃあね、桜ちゃん!」
3人は一発づつ鞄で桜を殴ると笑いながら帰って行く。
桜はよっぽど悔しいのだろう。
自らの手を握り締め、怒りの衝動を抑えている。
あたしは何も出来なかった。
きっと本来あたしは何もするべきではないし、何も出来ない。
だが、何かしたいと思った。
自分を虐めていた人間に対する感情としておかしいのは分かってる。
だけど、何も出来ない自分がもどかしくって仕方なかった。
すると、桜は何かに気付いたようにこちらを見た。
そう、あたしに気付いたのだ。