君がいた部屋~二階階段前倉庫~
「見てたの?」
桜はあたしに問いかける。
どう返事すればいい?
あたしは返事に困った。
「…」
結局何も答えられなかった。
「気分良かったでしょ?自分を裏切った奴がこんなめに遭って。良かったじゃない。明日からは虐められなくて済むんだから」
桜はそう言って立ち去ろうとした。
「明日からどうするの?」
自分は何を訊いているのだろう。
そう思った。
だが、その時にはもう遅かった。
桜は冷たく言った。
「あんたには関係なくない?」
「何でこんな事になったの?」
あたしの口は勝手に質問する。
「だから、関係無いって言ってんだろ!口出しすんな。」
「あるよ。」
「は?」
「関係無い事ない。」
「さっきから何言ってんの?」
「あたしは、桜達に虐められてた。何が関係ないって言うの?関係大有り!」
「…」
桜は少し黙った。
あたしはびっくりした。
桜が言い返さない事
自分が他人にこんなに主張した事。
今までのあたしだったら確実に黙らされていた。
だが、今回は相手が、桜が黙ってる。
そして、とうとう桜は口を開いた。
「桜は、あの子達に頼んだの。あんたのこと虐めるの手伝ってって。」
「うん。」
「遊びっていうか、利用する為に付き合ってたん奴がいて、そいつの親がレコード会社で働いてて、そこの歌手ライブのチケットなら何でも手に入る状態だったんだけど」
桜は唇をキュッと噛んだ。
「この前一方的に別れるとか言い出して。…全部無しになったってわけ。」
「…桜…」
「まぁ理由はどうせ、桜が浮気しまくりなのに気付いたからだと思うけど。」
「桜!」
あたしは呼び止めたが桜は走り去ってしまった。
空からは雨が降り始めていた。